私の出産体験記~当日前編~
破水疑惑やおかんの目標物通り過ぎ事件やまさかの帰宅指令を乗り越え、
遂にいよいよ出産当日を迎えた。
出産を終えて思うことは、
「お産は絶叫マシンに似ている」。
アトラクションに乗るまでは「まだかなー、まだかなー」とそわそわドキドキしているのだが、
いざ乗りこむときになると「え、まじかよ。もう?」となり、
絶叫ポイントになると「こんなの乗るんじゃなかった」とひどく後悔する。
前日と同じく、14時過ぎ猛烈な腹痛がやってきた。
生理痛×10くらいの痛み。
痛みが等間隔になり10分以内になったら産婦人科に電話してとのことだった。
…時間を測る余裕がない。
昨日ダウンロードした陣痛アプリを立ち上げ、なんとか測る。
(なんだこれ、聞いてないぞ)
昨日帰宅させられたので、今回も違ったらお騒がせ妊婦になってしまうと迷いつつ、
相変わらずそわそわしているおかんに産婦人科への電話を頼んだ。
案の定やはり一応来てくださいとのことだったので車を出してもらう。
「う…いたたたたたたた…痛いーーーーー」
今までに経験したことのない激痛がちょくちょく襲ってくる。
「おかん…にいがた軒だよ…」
「うん、わかってる。安全運転。」
(あれ、意外とおかん冷静だ。昨日行ったからかな。心強いな)
そしてにいがた軒が近づいてきた。
…と思ったら、通り過ぎた。
デジャヴですか?
「え、おかん、にいがた軒通り過ぎたけど」
「あ、ほんとだ。しまった。どうすればいいんだ」
私はその時ようやく気付いた。
おかんは冷静なのではない。冷静なフリを装っているだけなのだ。
「もうどこでもいいからコンビニとかの駐車場入ってUターンしてよ!!痛い!!!」
痛さで息も絶え絶えなのに、キレる元気はある。
「あ、そっか」
(…おとん連れてくればよかった)
果たして人生初のお産はどうなることやら。